展示風景


展示会場全景.中央正面に観音菩薩がおられる円通寺の多目的ホール.手前左はテンセグリティー,中央のテーブルは
多面体万華鏡.菩薩に向って両側に、平面造形の屏風を並べた. 


立方体のワクに張った極小曲面の華.制作:周(2005)






ペンローズタイリング
制作:任、李)と,コリンズ格子を応用したおもちゃ(制作:安森,2007).


3種類の多面体万華鏡.手前は、指導協力をお願いしたカスパー・シュワーベ氏考案のペンタキスの応用.
空間分割をもとにした平面作品です.これらの中には、周期的分割、準結晶的分割、ランダム分割がふくまれています.
らせんをもとにした平面作品です.対数らせん、ヒマワリらせん、つるまき線があります.
  
 「芸術工学基礎論」の授業では、自然現象に親しむために、実験シミュレーションをしました。学生たちは、それを楽しんでいるようでした。この体験をもとにして、アートやデザインを自由に制作してもらいました.とくに、CGや手書きの作品は屏風の形式で集合的に表現しました.
 屏風に集めた作品は、制作者の表示を省略します。皆、神戸芸術工科大学の学生さんです.
 
代表的な分岐系として河川の形成過程のシミュレーションをしました。サイコロを振って乱数を作りながら、川筋の折れ曲がりをつくりました.



墨流し、およびアルミ粉末を分散させた液体を使い、流れの可視化をしました(左上の2点).それに加えて、粘性液体の変形シミュレーションをしました(2段目と3段目).中央は、尾形光琳の「紅白梅図屏風」の川の部分を墨流しに置き換えたもので、私(高木)の作品です.

可視化実験の指導: 冨岡雅寛
シミュレーションソフトウェア制作: 笹田晋司、高木隆司、石垣 健

ぬらしたろ紙にダイロンという染料の粉末をまき、+−の電極を置いて電圧をかけると、水に解けた染料がイオン化して、電気力線に沿って移動します.染料は、この移動中に紙を染めるので、ろ紙に電気力線の模様が描かれます.その模様に、自由なデザインを加えて作品を作ってもらいました。手前下は、ろ紙で蝶を作ったものです(制作:遠藤). 狭い空間内で動く液体が示す粘性突起(左3点)とよばれる造形、銀イオンがボウの表面に析出する銀樹(左から3列目の上と下)、雪の結晶成長(残り)、という3種類のパターン形成の実験、およびシミュレーションをしました.雪の結晶は、サイコロを振りながら鉛筆で描いて成長させ、完成したものをCGで表現してあります。



 この展示では、「芸術工学基礎論」と無関係の作品も展示しました.それは、インクジェットプリンターで画用紙に印刷したスケッチに水彩画で彩色したもので、インクジェットアートと名づけました.インクが水中を拡散し、特殊な効果が生まれます.下の仏画はその例です.


アンコール遺蹟出土、般若波羅蜜多菩薩   制作:高木(2007)


円城寺、大日如来 制作:高木(2007)


法華寺、十一面観音菩薩 
制作:高木(2008)


 「仏」と「サイエンスアート」の取り合わせを、皆さんはどのように感じられましたか.展示会に来られた一人の檀家の方に、「この取り合わせはおかしいか」 とたずねて見ました.その答えは、「ちっともおかしくない」というものでした.おそらく、その方は、「サイエンスアートであろうと、なかろうと、仏には良いものをささげるべきなのだ」と言いたかったのでしょう.

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