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更新:10/02/15 > 12/04/28
■形典/●基礎概念

 魔方陣の基礎概念

 
更新: 12/04/28 ,

複合的対称性 魔方陣は,一般に正方形の方陣に1から始まる自然数を並べ,縦・横・対角の列の和が等しくなるものを言う.古くは,古代中国に伝わる洛書の三方陣やインドの古都カジュラホの完全四方陣などが伝えられる.方陣はデューラーの絵(メランコリア)や数独などでもよく知られている.[1] ここでは,魔方陣の抽象性と造形構成の為の基礎概念について,リズムの基礎概念シンメトリーの基礎概念と視点を重ねながら,配列を使って可視的に解説する. 下の図 11は簡単な4×4の要素の配列で,あえて0を含めた数詞と記数法の関係を意識しながら,順序と魔方陣の構成的リズムの違いを視覚化している.左端から記数法は,2進法4桁,4進法2桁,16進法1桁となっており,上段の順序のリズムでは数詞ごとに異なる傾きの斜線を対応させ,桁を要素内の位置の違いで対応させている.中段は魔方陣に対応させたリズム変換である.

mahoujin

magicsquare

 これらのリズムの配列モデュールには,線だけでなく,フォルムや変化の順序化(正規化)によってあらゆる形の要素が対応可能となる.順序と周期を造形的視点からとらえて工夫を施せば,リズムとバランスを活かした自在な構成が可能となる.図12は2進法4桁の魔方陣を桁ごとに分版して,1の値のところに画像を対応させ0を空白としたもの.完全方陣は,このようなシンメトリーの配置を重ねもつ複合的対称性[2]があるので,異なる形を異なる配置で重ねて,バランス良く構成できるのである.

完全魔方陣
図12: 完全方陣のもつ各桁ごとの対称性を使った複合的構成.

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図13: 要素F0~F3で相互の重なりを微調整し,UnitA0を形成.下段は,これを回転させて展開している. このように,魔方陣は,配列設定や補数関係の造形的配慮によって,バランスあるリズムを構築でき,順序と対極を成す特異な数学的モデルなのである.リズムの対応的抽象は視覚的抽象とレベルが異なり,およそ美の本質に迫るわけではないが,なんとも不思議なトリックに見えないだろうか?
参考文献 : 
[1] 大森清巳『新編 魔方陣』 冨山房 1992
[2] “複合的対称性に関する構成モデュールと配列表現” 形の科学会誌 20,273-293 2005

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