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更新:10/02/15 > 12/04/18
■形典/基礎概念
 
更新:08/09/30 > 09/12/18> 10/07/15> 12/04/18 ,
 
造形の基礎概念は,「どのようにして知るか」を知るるための重要な視点を与え, 物事の本質に迫り,考える基となる認識を深めます.

 現実を知らずに,知識だけで対象を見ると,事の本質を見失う原因となる.基礎とは,やさしい初歩とは異なり,一見簡単なようだが,本質に迫る大切な事柄である.基礎概念は,あたりまえのことのように教えられ,つい納得してしまうが,実は多くの暗黙の了解によってかろうじて成立していたり,微妙な問題を背後に抱えていたりするのが現実です.抽象とは捨象あってこその概念です.
   


0. 場:
“世の中”も“針”も“穴”も“KYのK”もみな場を意味している.ゲーム盤などは,まさに場そのものの現物支給だ.

  場とは,抽象的に思えることもあるが,恐ろしく具体的なものである.記憶にも具体的な場があることは,それらのメディアがどんどん小さくなることで良く解る.場という対象に何があって,何がないか?その差異を読み取ろうとする側にも,対応する記憶の場がある.


1. 差異

世の中には,わかることとわからないことがある.分かるとも,判るとも,解るとも記すが,この差異(違い)がわかることは,生きるうえでも大切なことである.
 極端な話だが,もし対象に一つの差異をも見出せなければ,それは無味乾燥な死のような世界をもつであろう.真っ白な映像,真っ暗闇,夢なき熟睡,記憶の喪失.そこに微動だにしない死を垣間見る.
 とは言え,差異のない持続は,永遠で,安定し,心安らかとも言える.もちろん,この仮定は,感情のある世界から見ての差異の推測だ.<return>


  数の世界では,0と1があれば差異の存在を表せる.(微妙) 差異のある2つの対象から1つを選ぶのに必要な情報量をビット(bit)と名付け,この展開が現在のデジタル革命を導いた.これは塵も積もれば山…とはわけが違う.言語機械は,言葉を解釈し,関連づけ,パターンを見出し,新たな組み立てを提示する.演算や情報伝達のスピードは速くなるばかりだが,人間の理解のスピードは,一向に上がらない.むしろその状況の変化に人間性が追いつけなくなっているようだ.だが考えるまでもなく,元々人間は,情報処理においては天賦の才をもつ.言葉を話し,理解し合い,詩や歌を詠み,人生を築いてきた.まさに差異の織りなす極みである.確かに,そう自覚するのは希なことかもしれない.だが,当たり前の日常が表現として客観性を得たとき,自己への洞察と変革が止めどなく始まる.差異が再帰的対称性のなかで更新を繰り返す.もしかすると物理的性質が現象へとづれるのかもしれない….<return>


2. 同一性

これはどういう事だろう?同じ性,同じ名前,同じクラス,同じ人? 同じ考え,同じ趣味.同じ時間,同じ体験,同じ一生?同じなんてあるんだろうか?同じ=無視 ではないか?自分とはあるのか?

 言葉の魔力にかかれば,答えは霞むばかりだ.無我が本来と言う方もいる.


  同じとは,異なる(差異がある)対象に,同じ対象が含まれるということであろう.AとBが同じであるならば,そもそもAとBに分けた違いは何であるか?それを答えないとA=Bとはなんとも得手勝手な方便となる.(笑) 同じ対象に差異のある対象が含まれる場合は何と言うのだろう?両様とか多様,多層などと言うのであろうか?だからこそ「同一性」とあえて言いはさむのではないか? 同じ対象が異なった見え方をすることが我慢ならないというのは解せない.差異のあるものが集まってこそ多様が生まれるのではないか?個という一つの存在と見なされたなかでの多様さは,どのように結びついているのだろう.多様(差異)を束ねることは,物理的にも現象としても,一つの命において難題である.その難題に何十億年も挑戦した結果が,分子や命となって現存している.芸術・技術・科学が異なる指向性をもつとすれば,一人の人間としてこれらを体験し,学ぶことは,同一性に障害をもたらすであろうか?障害も,生涯も困難を乗り越えてゴールを目指せば喝采を浴びることである.もちろん,ゴールするとは,振り出しに戻る遊び心であり,その勇気の証しだ. おそらく科学的探求のゴールも同様であろう.宇宙の起源や結末が解っても,人はなぜか我に帰る.どんなに喝采を浴びても,この多様の集まりである自分より他によりどころはないようだ.<return>


3. 一対一対応

ここでは,ある事物や文字や記号を関係付けることを考えよう.

  一人に一個の座席が一対一で対応しているとする.座布団や椅子,切り株でも岩でも良い.対応関係とは,同一性ほど厄介ではないようだ.動き回るバスや電車の椅子は,誰がどこに座っても良い.場合によっては,動物でも荷物でも,文字記号でも,あるいは空席でも良いのだ.一対一対応の普遍による概念化の利便性とは,対象が文字記号に対応しているのではないようだ.文字記号を含めた,あらゆる差異のある対象が仮想の席に対応しているのだ.ちょうど家具の入った部屋の模型を使って,実際の家具の配置を考えるようなことである.それぞれが,位置と場をもっている.したがって,文字記号も具体的な位置と場をもつことで記憶されている.だから,記憶装置はいつまで経ってもそれなりの大きさが必要となる.記憶とは,繰り返し確認できるものの状態を意味する.この状態を確保するには具体的に紙の上に文字や記号を書く方法が便利である.その文字記号が更にそれを見る貴方のイメージに対応したり,文字列の組合せがが貴方の記憶から意味を見出すことになる.<return>

4. 分割

分割というと等分割を思い浮かべたくなるようである.造形では不等分割が普通だ.BWHのプロポーションが,等分割を指すことは希である.人体をどう分割するか?決まりはない.

  植木算というのがある.マイナス1などと覚えるが,余り趣味の良い問題ではない.五本の指の間は幾つあるか?正解は五つである.マイナス1が「間」の数などという考えは,環境に目を向けず,ひとりよがりに陥る.リンゴを丸く握るようにして指の間を数えれば,多角形の頂点と辺のように共に等しい数である.親指の隣は小指なのだ.対象の周囲を見ないことは,美的にもマイナスである.芯と輪郭を混同している.二本足で立つ半割の植木など見たことがない.建築のラーメン(梁・柱)構造に庇やキャンティレバー(片持ち梁)が加わるのは自然な姿だ.さもなくば,両脇の柱間を一体の壁とする方が自然だ.分割とは,対象を物理的に断絶させるのではない.対象全体を認識するための仮想的な概念だ.これを知らずして画面分割など考えられない.切るのではなくつなげるためのプロセス(方便)である.細胞膜や国境とて同じであろう.隔てるのでなく,異なるものをつなげるための手法である.
物差しには,等分割が重要である.だがこれとて分けるためではなく,全体を度量衡で見定めるための方便なのだ.<return>
4のおまけ 配列
ジャングルジムのような仮想の格子.下からから何段目,前から何列目,左から何番目に,だれが,どんな顔して写ってるかすぐに伝えられるのが配列の良さ.

ついでに配列概念について述べておこう.空間分割の中身のを取り除いた空っぽの箱のようなものだ.これはまるで何でも入る「瓢念図」の瓢箪ひょうたんだ!それも一個ではない.「千生り瓢箪」といいたいところだが,もう少し解りやすく3次元なら縦横高さにきちんと並んで番号も付けられているような概念.実は何次元でもOK.となると「超瓢念図」というわけだ.プログラミングを知ってる方はこれをポインターと一緒にニコニコと駆使している変人である?ソシアルネットワークの大ナマズもこの壺中にあるらしい.したがって,どんな形の表象も配列概念に組み込める?

もっと詳しく 配列概念 >>>


5. 数(順序,乱数,魔方陣)

順序とは,一定の並び方の事である.アイウエオ順,アルファベット順.官位.どんな並びでも良いが,使う側は,その順番を覚えていることが必要だ.これはロッカーの番号のようなもので,順序正しく並ぶことでその場所だけを特定できる.誰が使おうが,何を入れようが,その番号に対する対応関係は自由なのだ.


  「羊が一いっぴきー…」と数えていれば眠くなるという.人間にとって数えるとは,秩序正しく増加するいかにも安心な行為と言うことだろう.ならば,一番,二番と競う気が知れぬ.二番の次は三番である.あたりまえ過ぎてつまらないと言ったら怒られるのだろうか?金・銀・銅・などとケチケチせずに三人とも金メダルではどうだろう.世界でたった三人なのだ.その順番が金銀銅にあたるだろうか?ちなみに昨今は,46億年目あたりの末世らしいが,これを今日から指折り数えるだけでも,死に追い抜かれるほどの大きな数だ.数値とは,解りやすいが故に正体を隠す魔物でもある.
 日常において,1,2,3と数えることは,そう頻繁にはない.眼というものは,見たとたんに,およその数を経験的に捉えているし,五角形と六角形を数えて見分ける人は希だろう.ましてや,100角,1000角形などは,数えることもない円の範疇だ.
 たとえば,ロウソクを小さい順に一列に並べて眺める.なんだか工夫がない.同じ数でも配置の仕方で雰囲気を変えられるものだ.数や正しい順序で対象を見ることなどほとんど希なのだ.どちらかというと,周期性やリズムの様子で対象を感覚的に捉え,その雰囲気を感じたり,印象として覚えている方が普通だ.ではその雰囲気はどのようにしてできるのだろう?周期性やリズムは,変化や相対する位置と関係がありそうだ.順序を暗黙の了解として変化するリズムを感じているのだろうか?ならば,順序交換こそリズムの秘密だろうか?人間の感性は,対象を数えずともその変化をパーターン認識して類型化ができるのである.だからこそ,ただ数え続けることで,耐え難い眠りが襲うのかもしれない.<return>

順序:基本的に順番が決まっている文字,数字の並びをさす.
乱数: 順序がバラバラの状態の数字配列.乱数には周期性がない.
魔方陣: 周期性があって,良く混ざっていて,バランスがある数字配列.

もっと詳しく 魔方陣の基礎概念 >>>


6. リズム

感覚的には誰もが知っている言葉だ.移行的変位とも言う.簡単に言えば,くり返しのなかで変化もある現象.

 日常に心地良い変化があるような感じですね.周期的安定性があるので,変化がより感じ取れるわけです.
 


  拍子(ビート)と律動(リズム)の違いは音楽ではわかりやすい.前者は周期的で等価な時間分割,後者は繰り返す中での変化だ.
では造形ではどうだろうか?文様のように,繰り返すパターンとその見え方も含めた微妙な変化を思い出すと解りやすい.だが離散的モデルとしての分類は,まだまだ探求不足だ.
絵画とか彫刻の表象空間ではどうだろう?自然科学のように解りやすい論理的アプローチは少ない.役に立たない,お金にならないことこそが究極のよりどころであるなどと想うわけもないから,よほど追い込まれない限り,このことを客観的に知ろうとする人はすくない.ましてや天賦のリズム感を認めさせるには,天才といえども一朝一夕にはいかないようだ.何故なら,音楽と異なり,造形のには,地上に繁茂した自然形態というとてつもない造形リズムがあるからだ.人間の生み出す造形性が,これを超えた表象空間を生み出すには,誰もが自然のもつリズムを学ぶ必要があるのだ.

  もっと詳しく リズムの基礎概念 >>>

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7. バランス

均衡,つり合いであるが,絵画空間のような限られた視野の場合と,空間的な広がりや,情緒的,時間的総合的なバランスもある.

  人間のバランス感覚は,そう簡単ではない.アンバランスのバランスなどが良い例だ.正直言って自分でも何故バランスするのか解らないが,何とも心地よい安定感が得られる場合がある.相反する存在が対峙することで,その存在の強度が釣り合うのかも知れない.意外に納得のいく手法もある.サイコロの目やコインの裏表のような頻度のバランスである.これらに見た目の重みを考慮し,モーメントのつり合いを考えると,なんとかバランスがとれてくる.乱数でバランスを取るのはどうも解せない.頻度の確率的バランスを使うなら,そう述べるべきだ.しかし,乱数には周期性があってはならないはずで,そこにリズムがあるとすれば,作者も含めて見る側が発見し,認識できたパターンである.これもまた人間の前向きなバランス感覚のようだ.<return>

8. シンメトリー


  バランスと共に語られる言葉にシンメトリー(対称性)がある.数学的,物理的問題は,専門書が山ほどある.しかし,シンメトリーを目視できる現象と思うと,ありきたりな解説で終わってしまう.並進対称,回転対称,左右対称などである.本研究では,配列による一対一対応との連関やポリリズムのような,同時性をもつ重なりにも注目し,やや複雑な対称性を探究してゆく.人間のパターン認識力は,論理より常に先行している.だからこそ,そこに論理性を発見できるのではないかと思いたい.整数の離散的モデルは,風になびく髪と生え際のような関係性を保ち,新たな複雑対称性の見出せる探求課題である.

 さらに見る シンメトリーの基礎概念 >>>

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9. プロポーション

全体対部分,部分対部分の比例.

プロポーションは,かたち(構成)のリズム感に大切な質を与えます.
長さや角度はもちろん,質感や配色や形態も,その周期性を独創的に捉えることで順序づけを行い,体温を基準とした華氏(Fahrenheit)のように,感性に準じた感覚的対比も設定できる.

さらに見る プロポーションの基礎概念 >>>


10. モデュール

機能をもった交換可能な構成部分.
システムを構築する部分で,相互に接合可能な要素をもつことで交換が可能となっている.造形的な接続とは,物理的な接続だけでなく,分割やプロポーションが共通であったり,同質のフォルムや質感を含むことで関係性が生じる事も,一体化につながる柔らかな接続となる.


  ここでは,造形デザイン(造形計画)の視点から,表現空間における視覚的な構成を中心に考える.属性的な長さや大きさ,重みなどの量的なプロポーションの定め方や,フォルムや質感や色合いなどの記号化による全体のイメージとの配分やグループ化による対比を調整する.物理的にも,現象的にも表現に沿った機能性を付与し、交換可能な構成部分として,全体の構成にパターンを織り込む重要な統合的手法である.

0..場の分割のモデュール,1.形のモデュール, 2.リズムのモデュール,3.シンメトリーのモデュール,プロポーションのモデュール,  5.質感のモデュール, 6.色のモデュール, 7.構成のモデュール 等がある.<return>

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